
■再調査しない考え
九州電力玄海原子力発電所(
玄海町)を巡る2005年のプルサーマル公開討論会の「やらせ」問題で、当時の佐賀県担当職員2人は14日、県議会に対して文書で、関与を否定した。
県内部調査結果と食い違う形となったが、調査を指揮した牟田香副知事は、再調査の必要性はないとの考えを示した。
一方で、県議からは、今後の議論について様々な意見が聞かれた。
牟田副知事は報道陣の取材に応じ、討論会のシナリオ作成の九電への依頼に関して、当時の県幹部と職員の全7人が「覚えがない」などと関与を否定し、県の内部調査結果と違った点などについて答えた。
主なやり取りは次の通り。
――内部調査と、今回の職員の回答文書やこれまでの参考人の発言は、整合性が取れないが。
「県庁と九電の資料に基づいて事実関係の調査を進め、補足的に当時の担当職員や九電の関係者にも聞き取り調査をした。残されている資料や断片的に得た関係者の話をもとに、総合的に判断して調査結果をまとめた」
――調査結果の見直しはあるか。
「(見直しは)しない。私の聞き取りでも記憶にないとの答えもあった。今回の回答を見ただけでなく、これまでに参考人招致も聞かせてもらったが、聞き取った内容とそう違いはなかった」
――調査で、県側がシナリオ作成を依頼したと認定した経緯は。
「県庁内のパソコンと九電に全く同じシナリオ原案が残っていた。九電の打ち合わせメモに、依頼された資料を提出したという記録がある。さらに『参考資料を求めたと思う』という県職員の証言もある。元々、シナリオの一番最初のたたき台は九電から提供を受けたもの。誰が依頼したかは分からないが、『依頼は事実』と私が判断した」
■県議会「議論振り出しに」
県議会からは、やらせ問題の徹底的な調査を求める意見が上がった一方で、原発の安全性など再稼働問題に関する議論の必要性を主張する意見も聞かれた。
原子力安全対策等特別委員会の宮崎泰茂副委員長(市民リベラルの会)は「県の調査で、県側がシナリオ作成を九電に依頼したとしていたが、これまで招致した参考人も、文書で回答した職員も、記憶にないとしている。堂々巡りで議論が振り出しに戻った」と受け止めた。
やらせ問題に区切りを付けるため、次回の特別委で、依頼者が誰かを明らかにするよう牟田副知事に求める考えを示した。
徳光清孝議員(県民ネットワーク)は「当時の県は、プルサーマルは重要課題と言っていたが、職員の『忙しくて覚えていない』という文書の回答内容から、現場では普通の業務だったと分かる。県は、討論会をプルサーマル導入への通過点としてしか位置付けていなかったのではないか」と指摘。
「県が、九電との関係を見直して県民側に立った行政をすると宣言しなければ、やらせ問題は決着しない」とした。
伊藤豊議員(公明)は「関与した職員が分からないまま次の議論には移れないが、これ以上、事実を解明する手法は、絶たれたのではないか」とした上で、「県が一連の問題を反省しているとも思えない。九電との不適切な関係を改善できなければ、県民の信頼は得られず、今後の原発行政を巡る議論もできない」とくぎを刺した。
一方で、特別委の石丸博委員長(自民)は「1年間の議論で納得できない部分もあるが、最後まで犯人捜しをする訳にもいかない。すでに県の体質に問題があったことは明らか。議会として猛省を促した上で、原発の安全性を含めた議論に移る決断もしないといけない」と強調した。
峰達郎議員(同)も「(依頼したと)言った、言わないを議論しても、水掛け論になってしまう。同じ過ちを繰り返さぬよう県執行部に求めた上で、玄海原発が本当に安全なのかという本来の議論に、早急に取りかからないといけない」と主張した。
(
読売新聞)
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